Oxonian’s

韓国の大学で働いてます。EBSラジオ『たのしい日本語』も担当中です。

"Nitty-Gritty" で昔を懐かしむ

論文で一番重要なのは内容(データ、分析、議論、等)だ。そして、きちんと計算された構成で、説得的で分かりやすい文章を書くことも、等しく重要だ。

でも、せっかくの論文、体裁にもこだわりたい。つまり、見た目にもカッコ良い論文を書きたいのだ。

論文を執筆するにあたって、色々と規定はある。例えば「文字の大きさはXXポイント以上じゃなきゃだめ」とか、「注をつける時は、脚注じゃなきゃだめ」とか。

でもその一方で、「表紙をどのようにデザインするか」、「ヘッダーの種類をどうするか」、「フォントの種類をどうするか」など、執筆者の裁量に任されているところもある。

このようなデザイン面も大切だけれど、今日は「同意語(synonym)」のお話。

一般に(例外はあるが)、論文では同じ単語を繰り返し使わない方が洗練されている。例えば「〜を主張する」と述べる際に、ずっと "argue" や "claim" だけを使っていては芸がない。適宜、コンテクストにあわせて他の表現(例えば "contend" や "advocate")なども組み合わせなければならない。

同意語を探す場合、自分ですぐに思いつく場合は良いが、いつもそうとは限らない。そのような時に役立つのは同意語を収録した辞書だ。

僕はネットの辞書を活用しているが、今日、懐かしい単語を思い出した。「本質(essence)」の同意語を調べていたら、"nitty-gritty" が載っていたのだ。

あー、この表現!!オックスフォードで一年目にお世話になっていた先生がたまに使用されていた表現だ。僕自身、ここ数年使っていなくて、すっかり忘れていた。なんか懐かしさを覚えた。

懐かしいと言えば、この「同意語を探す」という作業は、僕がロンドン大学修論を書いている時にも集中的に行っていた。その時の目的は(今も変わらないが)「論文をカッコよくすること」と「この作業を通して自分のボキャブラリーを高めること」の二つだった。

この作業のお陰か、修論を指導してくれた先生からは「あなたの英語は信じられないほどに(incredibly)良くなったね」とおっしゃって頂いた。お世辞もあるかもしれないが、嬉しかったな。

ちなみに、その先生の本では "mesh well with"(「〜と調和する」)というイディオムがたまに出てきて、僕も真似して修論に使っていたのだった。今回の博論でも、この表現は使っています。

さて、後一時間程でお昼だ。今日は無性にお寿司が食べたい。YO! Sushi にでも行ってこようかな。

それまで第六章の推敲を進めよう。今日も頑張ります!

博論提出まで57日!!