Oxonian’s

韓国の大学で働いてます。EBSラジオ『たのしい日本語』も担当中です。

英語の間違い

僕のレキシコン(頭の中に整理されている語彙情報)には、どうやら(少なくとも規範的に)誤った英語の情報が登録されてるようだ。最近、3点ほど発見した。

1. Sophisticate 先日、とある先生へのメールで 'sophisticate' という単語を「〜を洗練させる」という意味で使った。すると「そんな単語はないよ〜」と言われてしまった。

これはかなり衝撃でした。だって、僕は何年もこの動詞を使い続けてきたから。辞書で調べてみると、確かに「〜を洗練させる」という意味での 'sophisticate' という単語は無い。僕が何年も 'sophisticate' という単語を使い続けるうちに、僕のレキシコンの奥深くに登録されてしまったのだろう。

僕がこのような間違いをした理由は明瞭です。形容詞である 'sophisticated' (「洗練された」)の動詞形を勝手に作ってしまったのです。

このことを知り合いの研究者に話したところ、それは「逆形成 (back formation)」(概略、通常とは逆の過程で語形成が生じること)だから、あながち文法的に間違いというわけではないと思うよと言って頂きました。

2. Provocateこれは、「〜を主張する」という意味で僕が博論の草稿で使った動詞です。しかし、草稿を読んで下さった先生から「こんな英単語は見たことない」と言われてしまった。

これもかなり驚愕でした。だって、僕のレキシコンの中にははっきりと登録されているのですから。この 'provocate' という単語が!

でも辞書を観てもそんな単語は載っていない。あれー、おかしいなあと不思議に思うこと数週間。。。

すると、ちょうど数日前に 'advocate' という単語を見て「あ、これだ!!!」と思いました。僕の頭の中では 'advocate' という綴りが勝手に 'provocate' という綴りに変わっていたのです。

この綴りの変化の原因は分からないけれども、恐らくは 'provocative'(「物議をかもす」)という形容詞が一因となっているのかもしれません。そうすると、これも「逆形成」と言えるのかもしれません。

3. Conceive
これは、つい10分程前に発見した、用法の間違いです。僕は「AをBとみなす」という意味で 'conceive A as B' と論文中に書いていました。しかし先生から「 'conceive of A as B' ですよ」との指摘が。。。

そうだ、、、そうだった! 急に記憶が蘇り、辞書で確認すると確かに 'conceive of A as B' だ。これって、僕が高校生の時に習った用法だった気がする。しかしここ何年かは、もしかしたら 'conceive A as B' という誤用をしていた気がする。うーむ、これはすごく恥ずかしい。。。

このように、英語で論文を書いていると、語彙や文法などの面でハッとさせられることが多いです。特に上に挙げた3つは、結構な衝撃でした。

あ、日本語でもそうだな〜。昔、地元の友人(このブログにもコメントをくれたことがある、やっちゃん)と第三者について話していたときのこと。僕が「どうしてきちんとやり遂げないの? そんなの、やりなげじゃん!」と言ったら、「槍を投げるなよ」と言われたことがあったっけ。

さて、ブログも更新したことだし、論文の改訂作業に戻るとしましょう。提出まで76日だー!