Oxonian’s

韓国の大学で働いてます。EBSラジオ『たのしい日本語』も担当中です。

真夏の怪談

昨晩は最悪だった。

夜中にベッドに寝そべって勉強をしていたのだが、ふと気づいたらベッドのすぐ右にネズミが一匹いた。正直、焦りました。明かりがついているのに、そして僕が近くにいるのに、微動だにしない。イギリスのネズミは傲慢だ。

気持ち悪かったが、仕方ないので本を読み続けると、ネズミはいつの間にか本棚に移動していた。もうこれ以上は勉強を続けられる雰囲気では無くなり、かと言って深夜にネズミを退治する訳にもいかないので、放置して眠ることにした。

電気を消して、何事も無かったかのように。。。そう、部屋は真っ暗だから、ネズミがいようが関係ない。どうせ見えないのだから。

そう思った僕は考えが甘かった。奴は、暗闇で元気になり、物音をたて始めたのだ。スーパーの袋の上に乗って「シャカシャカシャカ...」、本棚の上で「カツカツカツ...」、、、

相当に気色悪い。あまりの不気味さに、フラットメイトにパソコンでメールを送っておいた。「明日起きたら、大事な話がある。ネズミの件です。」と。

これ以上あの音は聴きたくないので、i-podで音楽を聴いて寝ようと思ったのだが、i-podは本棚の上。取りになんて行けない。

仕方ないので、ベッド脇に置いてあったイヤフォンをつけ、ドラマを観始めた。松本人志の『伝説の教師』。ストーリーがすごく考えられて作られてあり、大変に面白い。気がついたら朝の7時。いつの間にかネズミは姿を消していた。よし、寝よう!ということで、眠りについた。

お昼の12時頃だろうか、リビングから話し声が聞こえる。「昨日、ネズミのメールがあったけど、あれって冗談なのかな?」「いや、私もまだ聞いてないんだ。」

これは起きなければなるまい。そして、事の有様を説明しなければなるまい。ということで、リビングに下りて行き、昨晩の悪夢の一部始終を説明。フラットメイトは全員女の子なので、怯え始める。

そんな時に、、、まさに「そんな時に」である。Judith が気分転換に窓の方に近づくと、カーテンの隙間から奴が現れた。一同、叫ぶ。叫び声にびっくりしたのか、奴は暖炉の隙間に逃げ込んだ。

今は昼間。奴に立ち向かうしかない。ちょうどフラットメイトの女の子の彼氏が来ていたので、みんなで協力して奴を捕まえることにした。各自、武器やバリケードにできるものを用意。暖炉周辺には、厳戒警備体制が敷かれた。

暖炉に向けて集中攻撃がなされる。しかし、一向に奴は現れない。ここで、作戦を変更し、奴を暖炉に閉じ込めることにした。容器で暖炉を封鎖し、中には餌をまいておいた。数十分後、餌が少しまき散らされている。やはり、どうやら奴はまだ中にいるらしい。

ここで、更なる作戦が決行された。ネズミ取りを買ってきて、容器の中に仕掛けた。そして、暖炉内の一部始終をビデオで撮影。

数時間後にビデオを確認したが、奴は映っていなかった。映っていたのは、途中で気になってビデオを覗き込んだ僕の顔だけだった。

夜になり、夕食の時間。僕らは近所のタイ料理屋に行きご飯を食べ、街の中心街にある The House でカクテルを飲んできた。帰宅してからビデオを確認したが、奴は冷静さを保っており、なかなか出てこない。仕方が無いので、このまま放置して眠ることになった。

この作戦が功を奏すことを祈りたい。っていうか、僕も今夜はもう寝るぜ。おやすみ!